子どもの頃、ご近所のお寺さんの子どもと仲が良かった。よくその女の子の家に遊びに行っては、お寺さんの一画にある墓地や境内、本堂に続く廊下などで遊んだ。お寺さんには様々な人が出入りしていたが、特に、そのお寺に住み込んでいる、小姓さんたちとは接する機会も多かった。

お寺さんの子どもは、その少年たちに向かって「〇〇!あっちへ行け」「〇〇、お母さんにこれを渡しておけ」などと、女の子とは思えない口調で命令していた。小姓さんたちは、5つにもならない女の子にそう命令されても、ニコニコと笑って対応していた。あまりに傍若無人なふるまいをされても、苦笑いで逃げることくらいしか、彼らにはできないようだった。

お寺の娘と小姓さんの事情は、幼い私には全くわからなかったが、ただその時の私には、その女の子が、自分の親でさえ使わない、横柄な態度、言葉遣いで他者に接していることが驚きだった。私には兄弟も沢山いたが、兄や姉だって、そんな言葉遣いはしなかった。何度かそんな現場を見ているうちに、お寺さんの子どもとは、段々遊ばなくなっていった。大人になった今となっては、その驚きはとてもまともな感じ方で、お寺さんの、その当時の教育環境、育児環境が良くなかったことがわかる。

今でもたまに、子どもの前での言葉遣いについて考える時、そのお寺さんのことを思い出さずにはいられない。